玉鬘はなぜ黄色の衣装なのか?~色彩で読み解く源氏物語~
2021年2月16日
こんにちは。
カラービジネスコンサルタントの武田みはるです。
今春、店頭には鮮やかなイエローが目立っています。
黄色というと私がまず思い起こすのが、
源氏物語の「玉鬘」です。
引用元:あさきゆめみし画集
色彩で読み解く源氏物語というのを
密かにずっと書いているのですが(笑)
玉鬘の章をリライトして黄色について述べたいと思います。
玉鬘(たまかずら)は、光源氏が若い頃に出会い、
死に別れた女性・夕顔(ゆうがお)の忘れ形見です。
玉鬘は不遇な幼少期を過ごします。
母亡きあと、乳母しか頼れるものがいなくて、
遠い筑紫の国で育ちます。はっきり言って、超ド田舎
そんなド田舎育ちで、両親がいない境遇でも、
気立てと知性のある美しい姫君に育ちます。(これは育ての母の功名でしょう)
玉鬘の本当の父は頭の中将(とうのちゅうじょう)で、
公私ともに光源氏のライバル貴公子です。
光源氏はそんなライバルの頭の中将に玉鬘のことを知らせず、
自らの六条院に引き取るのです。(なかなかの策略)
玉鬘からすると、生まれて初めてのみやこびとの生活。
あまりの豪華絢爛さに圧倒される日々。
やがて、彼女の美しさが噂となり、多くの求婚者が現れるのですが、
その中でいちばん「この人はないわ~」と思っていたダークホースにやられてしまうのです(下品な言い方ですみません)
武骨で粗野にしか見えないひげ黒の大将((黒ひげではないですよ)
そんなひげ黒の大将は、見かけとは反対に
やさしく誠実な男性だと彼女は見抜くのです。
ここが、玉鬘の聡明なところ。
若い娘にありがちな表面だけを見て判断するのでなく、
物事の本質をしっかりと見抜く眼を持っているんですね。
田舎で孤児として育ったことで、
「どうせわたしなんか・・・」とひねくれたりもしません。
さて、光源氏がこの玉鬘に贈った衣装は、
『曇りなく赤きに、山吹の花の細長は、
かの西の対にたてまつれたまふ。』
「曇りなく赤きに」というのは、茜で染めた深い赤で、
PCCS(日本色彩研究所)でいうとdp2の色です。
日本の伝統色の代表でもある山吹の花色は、
くちなしに少し茜をかけた赤みのある黄色です。
一般に「山吹色」とよんでいるだいだいよりの黄色。
濁りの無い赤と山吹色。
オレンジ寄りの黄色は、見るだけで元気の出る色です。
黄色は、「フレンドリー」「ユーモア」という意味があり、
橙には、「社交性」「仲間意識」という意味が備わっています。
内向的ではなく、明るく外向的なイメージですね。
明るく屈託のない玉鬘の人柄がこの配色に見事に出ています!!
光源氏の衣装選びのセンスが素晴らしい!!
こんなことから、私は山吹色を見ると、
玉鬘を思い出すのです。
逆境にもめげず、くさらず、明るく
機転を利かせて自らの力で自分の居場所をつくった玉鬘。
「置かれた場所で咲きなさい」とおっしゃった渡辺和子さんの言葉通りの生き方です。
現状を甘受しつつ、
新たな世界へ視野を広げる際には、
玉鬘のように山吹色が勇気を与えてくれる色なのかもしれません。
作者の紫式部は、
玉鬘や明石の上、空蝉のような
身分は低くてもたしなみ深く、
聡明な(身の程をわきまえた聡明さを持つ)女性を
とってもとってもイイ女に描いています。
逆に、身分が高いだけ、
顔がイイだけの女性は
ケチョンケチョン
この対比、めちゃくちゃおもしろいです。
1200年前に
「見た目だけで勝負できないのよ!
中身がなけりゃね」と語っているのです。
ま、紫式部自身がバリキャリですからね(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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